“Speed with Quality”で医療機関と融合を

★ “Speed with Quality”で医療機関と融合を
CRS研究所(札幌市、代表取締役社長植草友幸氏)は、得意とする産婦人科領域で堅調な展開を見せ、新たに透析専門病院のH・N・メディック(札幌市厚別区)でSMO業務をスタートさせることも決まった。昨年には、社員9人のうち5人が日本臨床薬理学会の認定CRC試験に合格。CRC派遣業務では、難しいプロトコールにも挑戦するなど、スタッフの意識も高まっている。植草氏は「SMOとして治験センター化のイメージが見えてきた」と実感を語っており、今後は医療機関とSMOの融合を目指していく予定だ。
★ 産婦人科中核に領域広がる
中心となる産婦人科領域は、新規で子宮内膜症のフェーズIII30例を担当した。全国3分の1に当たる症例数であり、初めて札幌産科婦人科治験ネットワークの5施設がフル参加。ファーストエントリーを果たして強みを見せた。また更年期障害の15例も担当するなど、産婦人科領域の基盤は揺るぎないものとなりつつある。もう一つの整形外科領域は、準備を進めていた1施設(安井整形外科病院)でのSMO業務が中止となった。改めて新規に血栓症予防の治験を行う予定だが、現段階では未定の状況にある。一方、新たに透析専門病院のH・N・メディックと契約し、透析患者の難治性皮膚掻痒症の治験をスタートさせる。当面は10例程度を目標にし、順次追加症例を組み入れていく考えだ。
★ セントラルモニタリング
CRC派遺業務も、実績ある整形外科領域にとどまらず、最近は免疫抑制剤、抗癌剤といった難しいプロトコールにも挑戦し始めた。昨年、5人が日本臨床薬理学会の認定CRC試験に合格し、スタッフの意識も高まっている。ただ、順調に業務を増やす中で、CRC1人の抱える業務は限界に来ており、現在CRCの増員を急いているところだ。電子化した原資料を一元管理するセントラルモニタリングは、運用実績が140例まで積み重なってきた。当初、電子カルテの導入を予想して開発したシステムだったが、依然として電子カルテの導入は進んでいないのが現状。そのため当面は、セントラルモニタリングを活用し、QC部門担当のCRCがロジカルチェックを担う方針に変わりはない。
★ グローバル試験参加にも意欲
QCとリンクした格好で、MedDRA用語集の活用も積極的に進めてきた。既にSMO業務では、全てMedDRAの統一用語でCRFを記載している。植草氏は「グローバル試験に参加することで、MedDRAの経験を生かしたい」として、グローバル試験の参加にも意欲を見せる。このように、SMO業務が産婦人科5施設、整形外科1施設、内科系(透析)1施設まで広がったことから、今後は管理型SMOを目指す方向を打ち出している。植草氏は「SMOとして治験事務局機能、CRC派遣業務を担う治験センター化のイメージが固まってきた」と実感を話す。今後は、医療機関との融合を目標に、常駐しない形で大病院の事務局機能を果たしたいとしている。
★ 依頼のほとんどは提携医療機関から
CRS研究所の支援業務は、提携医療機関からの依頼がほとんどである。製薬会社から医療機関に治験が持ち込まれるため、一切の営業をせずスムースに支援を行うことができる。こうした現状を振り返り、植草氏は「黒字経営の病院で無理のない治験をしたい」という、立ち上げ当初からの気持ちが実態に合ってきたと感じている。SMOとしてのコンセプト、治験を行う医師の意識、スタッフのモチベーション。これらが一つになった今、CRS研究所はスケールメリットでは測ることのできない強みを発揮しつつあると言える。