産婦人科領域の案件急増

圧倒的スピードで存在感

CRS研究所(札幌市、植草友幸社長)は、得意とする産婦人科領域のSMO業務が好調で、昨年度は過去最高の売上高を達成した。昨年開始した子宮腺筋症の第Ⅱ相試験に加え、新たに子宮筋腫、子宮内膜症を対象にした3試験がスタート。全ての試験で全国1例目のエントリーを達成し、北海道から存在感を示した。さらに昨年は、小児感染症ワクチンの試験を受託し、小児科領域でも初めてSMO業務を経験するなど、得意領域で実績を発揮しながら、SMOとしての幅を広げる機会となった。
CRS研究所は、昨年から主力の産婦人科領域を中心に、復調傾向が見られていたが、力強い回復基調が本格化し、受託案件が一気に増加。一転してフル稼働状態になるなど、活況を呈している。
得意とする産婦人科領域は、「札幌産科婦人科治験ネットワーク」の5施設で開始した子宮腺筋症の第Ⅱ相試験で、全国目標症例数の3分の1程度の組み入れを達成するなど強みを発揮した。次相の受託も視野に入れている模様だ。
新たに子宮筋腫、子宮内膜症の3試験もスタートした。契約症例数は150例と、小所帯のCRS研究所には大きな案件となったが、既に3試験ともに全国1例目のエントリーを達成。産婦人科領域に強いSMOとして、スピードを実証した格好となった。
植草氏は、「最近、子宮内膜症の新薬や適応拡大に向けた開発が活発になってきており、国内製薬企業のリピートも増えている」と実感を話す。
さらに、ネットワーク参加施設の「札幌マタニティ・ウイメンズホスピタル」の小児科で、小児感染症のワクチン治験を実施することが決定。CRS研究所として、初めて手がけた小児科領域のSMO業務だったが、わずか2週間程度の短期間で34例の登録を実現。産婦人科領域に近い小児科領域でも、スピード感のある業務を遂行し、確実な結果を残した。
また、透析領域については、SMO業務を行う「H・N・メディック」、CRC派遣業務を行う「札幌北楡病院」を合わせ、進行中だった7プロトコール41例の治験を終了させた。
特殊領域を手がけるCRC派遣業務では、慢性骨髄性白血病の国際共同治験が継続中であり、大腸癌の化学療法後の好中球減少を対象とした治験は終了した。
致死的な移植片対宿主病(GVHD)の治験は、著効が得られて終了したことから、より難易度の高い小児GVHDの次相試験を手がけることが決定。さらに、移植後感染症を対象とした抗生物質の第Ⅱ相試験もスタートするなど、案件が引きも切らない状況が続いている。
一方、整形外科領域のCRC派遣業務は、腰部脊柱管狭窄症の治験、人工股関節の医師主導治験が進行中であり、新たに椎間板ヘルニアの治験もスタートしている。
このように、産婦人科領域のSMO業務からCRC派遣業務まで、CRC6人全員がフル稼働しても人手が足りない状況が続くが、植草氏は「受託案件は産婦人科、小児科が中心であり、主力領域の受託案件が継続していることが大きい」と手応えを語る。
今期も、産婦人科領域の実績を中心に好業績を確保できる見通し。植草氏は、「やはり得意とする産婦人科領域を中心に仕事ができると、モチベーションが高くなる。これからも粛々と産婦人科領域に取り組んでいきたい」と話している。