婦人科領域治験で勢い持続
~1年半で約250例を登録~
北海道を地盤とするSMO「CRS研究所」は、婦人科領域で多くの治験を受注し、2018年2月期、今年度中間期は堅調だった。提携する医療機関の症例エントリー数でも、試験に参加した世界の医療機関の中で上位施設に名を連ねており、この1年半で組み入れた患者数は250例を超えた。来年度も婦人科領域を中心に、現在進行中の治験、新たに子宮内膜症を対象とした治験、婦人科以外の案件も加わり、好調が続く見通しだ。植草友幸社長は、「予定されている試験は、現在進行している試験も含め、品質を大事にしながら、症例エントリーを積み上げていきたい」と話している。
18年2月期は好業績となった17年2月期とほぼ同水準で着地し、今年度中間期も計画通りに進捗している。成長を支えたのは婦人科領域だ。大規模な子宮筋腫の治験では、提携施設が世界1例目を達成し、組み入れた症例数でも二つの施設が世界1位、2位を独占するなど高い実力を示した。同社が日本での目標症例数のうち、およそ半数の患者で登録にこぎつけた。複雑なプロトコルで症例エントリーが難しい試験も含まれるが、早期に被験者の同意を取得し、数例で治験薬の投与が始まっている。
また、月経困難症、子宮内膜症を対象とした試験は順調に症例登録が進んでいるほか、貧血を対象とした試験も4施設で実施している。植草氏は、「治験コーディネーター(CRC)の高い稼働率が続いているが、良い結果を出すことができている」と手応えを示す。
来年は、現在進行中の試験に加え、子宮内膜症では複数の試験が新たに予定されている。神経内科や血液内科、消化器科など婦人科領域以外の試験も計画している。
1つの試験で多くの患者を組み入れていくためには、正しい手順で治験を実施していく品質の維持が前提となる。この数年、リスクベースドモニタリング(RBM)への対応に向け、取り組みを続けている。
治験依頼者側のRBMに対する取り組みを見てみると、各社で手法に相違があり、医療機関に対する要望についてもバラツキが見られるのが現状。ただ、植草氏は「施設側の品質管理プロセスは、実施した治験業務をきちんと記録として残していく“文書化”が大切。それを徹底していれば、治験依頼者のモニタリングがどのような手法で進めるにしても、CRCの業務に変更が生じることはないと認識している」と話す。
来年4月に会社設立20年を迎える。治験環境の変化に直面しながらも、北海道のSMOとして、強みとする婦人科領域での治験サポートで実績を積み上げてきた。今後もその事業方針に変わりなく、医薬品開発を支える存在であり続ける。